30年前にこの本に出会っていればと思ってしまう、可能性を狭めないための一冊
イレブンにも定期的に送られてくる「高校野球部活動応援マガジンTimely!」さんが、野球界で活躍されている6名のライターさんたちが各高校野球部さんに長期密着取材したものを編集し、一冊にまとめました。
できれば小学校6年生のうちに、遅くても中学校1年生のうちに知っておいてほしい野球事情です。
この本は、甲子園に行けなくても甲子園を目指した選手たちが高校三年間を過ごし、「甲子園に行ければいいけど、行けなくてもいいんです。大事なのは選手たちが何を得て卒業するのかですから」という各高校の監督たちの思いの詰まった一冊です。
甲子園を目指せ!進学校野球部の勝利への方程式の目次
・はじめに
・県立宇都宮高校(栃木県)
目的は人間力向上 自律自治の”宇高マインド”
文:中里浩章
・県立丸亀高校(香川県)
野球も勉強も全部するから価値がある
文:高田博史
・県立岡山城東高校(岡山県)
20分5種類のメニュー 集中して行う毎日の練習
文:喜岡桜
・県立新潟高校(新潟県)
野球も勉強も手を抜かない 目指すは「究極の文武両道」
文:鈴木長月
・府立四條畷高校(大阪府)
「全力疾走」「全力発声」で持っている以上の力をだす
文:西尾典文
・県立川和高校(神奈川県)
私立が10球なら川和は1球で体得する
文:大利実
※文章中は敬称を省略しております。
野球選手でいる時間よりも、引退した後の人生の方が長い
憧れの甲子園大会に出場するという夢であれば、日本全国から有望な選手をスカウトしてくる私立の野球強豪高校に入学し、チーム内の競争に勝ちぬき甲子園のグラウンドに立つというのがもっとも確率の高い選択肢だと思います。
しかし、単純に「部活動としての野球を楽しみたい」とお考えの方であれば、地域の公立高校で3年間を過ごすという選択肢もありだと思います。
「志望大学を目指し勉強しながら部活動も頑張る」
楽な選択肢ではないですが野球の強豪私学にはない高校野球生活があります。
人生で「野球だけしていればいい」という人はおりません。
プロ野球選手でさえ(ごく一部の例外を除いて)野球選手でいる時間よりも引退した後の人生の方が長いわけです。
イチロー選手やサッカー界ではキングカズこと三浦知良選手、スキージャンプの葛西紀明選手など、人生のうちの半分を選手として過ごせてしまいそうな方も中にはいますが、彼らは本当に稀で、これはマネをしてもできないことです。
ですから彼らのことを「レジェンド」と呼ぶわけです。
若いうちは「野球」も「野球以外のこと」も目一杯打ち込む
今回紹介されたいずれの高校も、プロ野球選手を目指す競争の厳しい環境に身を置いて、野球漬けの3年間を過ごすような野球部ではありません。
世間でいうところの進学高校。
毎年、東京大学に何人、北海道大学に何人みたいな進学実績のある高校の野球部員。
当然、野球部員である前に高校の生徒であるということが前提の高校生です。
ここで高校野球をするメリットは様々な自分の可能性を早期に気が付けることです。
高校三年間を野球に没頭することが悪いこととは思いませんが、没頭してしまうと野球以外のことがおろそかになり、「将来を考え野球以外の選択肢を考えなければ」と思っても他にやりたいことを見つけにくいです。
幅広い知識や考え方を持っていれば、他のやりたいことに移りやすいということです。
また昨今、東京大学出身の投手や京都大学出身の投手がプロ野球のドラフト指名を受け、日本のプロ野球団に入団したりもしております。
高校時代に活躍できなくても、野球選手としてのピークが大学生や社会人野球の年齢になっても「自分の可能性を伸ばす考え方やスキル」があれば、野球の強い学校に行かなくてもプロ野球選手になることはできるわけです。
野球の楽しみ方は人それぞれです。
どこで人生の花が咲くか、どこで人生の転機が訪れるか、なんて分からないわけですから、若いうちは貪欲に「野球」も「野球以外のこと」も目一杯打ち込むのも選択肢のひとつだと思います。