愛弟子である野球日本代表の監督稲葉篤紀氏に、2020年の東京五輪で是非とも金メダルを獲得してほしいという願いを込めて書いた一冊がこの本です。
侍ジャパンを世界一にする!戦略的思考の目次
はじめに 侍ジャパンへの遺言
第一章:なぜ侍ジャパンは敗れたのか?
第二章:侍ジャパンが世界一になるための秘策
第三章:メジャーに勝つ日本の武器
第四章:監督人材難とう大問題
第五章:プロ野球を改革する指導者はこう作れ
第六章:ノムラが選ぶベストオブ侍ジャパン
おわりに ノムラが死ぬまでボヤき続けたいこと
野村氏は日本野球界の現状を懸念している
最近の子供たちのあこがれのスポーツ、1位はサッカー、2位はバスケットボール、3位が野球だそうです。
Jリーグというプロサッカーリーグができ、紆余曲折はありましたが統一した団体として昨年よりプロバスケットボールリーグのBリーグが開幕しました。
野球というスポーツの人気の低迷の有無に関係なく、他のプロスポーツの発展があれば自然と野球人口にも影響はあると考えそうですが、野村氏はこの現象の原因はプロ野球の人気が低迷していることが主な要因であるとお考えのようです。
そして、プロ野球人気の低迷の原因の一つとして、アメリカの野球の方が日本の野球よりも優れていると日本人の多くが捉えているため、有望な若手選手が自分の力がどれほど通じるのかを試すためにアメリカへ移籍してしまう。
球界の看板選手が日本球界でのプレーよりも、メイジャーリーグでプレーすることを希望する機会が増えていくに従い、日本プロ野球界に「スター選手がいない」ということ。
近年の世界大会で日本チームが優勝できないのは「監督にふさわしい人材」がいないこと。
すなわち「世界に通用する投手」「世界に通用する捕手」の育て方を知っている人材が現場にいないとお考えのようです。
本著では稲葉篤紀 侍ジャパン監督が2020年の東京五輪で優勝するために必要な「勝てる監督になるために必要なこと」「2020年に軸となる投手・捕手の育て方」「育てた選手を上手に活かすための戦略」。
そして、最終的にアメリカチームに勝つことで再びプロ野球に活気を取り戻したいとお考えのようです。
広島広陵高校の中村奨成選手について
多くの野村氏の著書と違うところは、今年の夏の甲子園で大会通算本塁打の記録を塗り替えた広島広陵高校の中村奨成選手について長く触れられております。
打者としての資質、捕手としての資質、身体の線が細いけどと前置きをしておりますが、プロの捕手として監督として人生の8割以上を野球に費やしてきた野村氏の「中村蒋成選手のどこに注目し、どういうところが出来ているから捕手としていい捕手なのか?」という視点は、現役の選手はもちろん、指導者の方も注目されてみてはいかがかな?と思いました。
もう一点「いい監督とは?」というところに関しては自身の成長もさることながら「いい参謀」をどう見つけるかとも書いております。
「いい参謀とは?」と野村氏の大好きな「とは論」が主です。
200ページほどの本で内容もさして複雑なものではないので、2時間もあればさらりと読み終われる内容にもなっております。
アメリカの野球に対抗意識をお持ちの一方で、アメリカ野球の良さもしっかりと認められているあたりが野村氏の良さでもあるなと感じられた一冊でした。