高校野球弱者の戦法―強豪校に勝つために(田尻賢誉)日刊スポーツ出版社
高校野球弱者の戦法―強豪校に勝つために(田尻賢誉)日刊スポーツ出版社。トイレ掃除をするとチームが強くなる!?
高校野球弱者の戦法―強豪校に勝つために(田尻賢誉)日刊スポーツ出版社
1,500円(税別)
「高校野球」とタイトルの中にあるので高校野球の本ではあるのですが、前半部分は特に野球に限ったことを述べているわけではなく、他競技でも道内で全国トップクラスの結果を残しているチームが実践していることと共通することが多いと感じました。
スポーツは人間がすることなので「ミス」は必ず発生する。
結果につながるミス、ミスしたけどそのあとの結果で穴埋めができて事なきを得たことなどたくさんあるわけですが、著書に登場される指導者のみなさんの考え方に共通するのは「ミス」が予定調和の範疇であること
ゲーム中に起こりうる「ミス」を少なくする練習はもちろんですが仮に起きても、プレーが予期してないものにならないように普段の練習でそれぞれ徹底して取り入れられている。
予期できれば浮足立つことはないわけですが、それぞれの監督さんの徹底ぶりには頭が下がります。
元駒沢大学付属苫小牧高校香田先生の起こりうる送球ミスを想定した「カバーリング」を重要視されていることもひとつ、佐賀北高校百﨑監督の「イレギュラーもエラーのひとつ」という言葉で、土のグランドである以上イレギュラーバウンドは常に発生する要素であると思えばイレギュラーバウンドのボールを捕れる練習をし、捕れなくてもイレギュラーバウンドのボールが発生したあとのプレーを想定できる。
起こったことを「不確定要素」ととらえるかある程度予測された出来事ととらえるかでその後のプレーがその後の練習が大きく変わってくると思います。
前半は登場された監督さんたちの徹底ぶりによって選手たちの意識がどう変わったかを語っております。
後半は「創意工夫」について。
「弱者の戦法」というタイトルの本筋でしょうか。
選手個人の取り組み次第で活躍の場面はいくらでもあるということの具体例があげられております。
気になる方は実際に手にとってお読みくださいませ。
最後に余談ですが。
冒頭で花巻東高校佐々木監督のコメントの中に、現在ライオンズで活躍中の菊池雄星投手はみんなが嫌がるトイレ掃除を現役選手の時は毎日率先してしてしていたそうです。
結果、菊池選手はもちろんトイレを選手がきれいに使うようになったという記載がありました。
ビートたけしさんの著書「新しい道徳」でも触れていますが、たけしさんは今でも自分の使う楽屋のトイレを毎日掃除するそうです。
かけだしの頃、師匠にトイレ掃除を命じられ毎日毎日しているうちにトイレ掃除が好きになったんだとか。
いつのまにやらたけしさんにとってトイレ掃除は日課になっているそうです。
芸人としてデビューしてから今日まで続いていることは何ですか?と聞かれて、「トイレ掃除くらいしか思いつかない」と述べた一方で、「今日の自分があるのはデビューしてから今までトイレ掃除をしているからじゃないか」と、たけしさんにとってトイレ掃除はルーティンのひとつなのでしょう。
さらにすごいなと思ったのは食事などで外食した際に、その店のトイレが汚かったらそこのトイレをきれいにしないと気が済まないとかでそこのトイレをきれいにしてから出てくるんだそうです。
理由は「トイレがきれいだと気持ちがいいでしょ」ってことだそうで、トイレ掃除の達人です。
たけしさんだけではなくタモリさんもトイレ掃除は実践されているそうで、そんな話をラジオで聞いた直後に「弱者の戦法」を読んだからでしょうか?
トイレ掃除をするとチームが強くなるということと何か因果関係がありそうな気がしてきました。
どうも、冒頭のトイレ掃除のくだりから頭が離れない一冊です。
田尻 賢誉 日刊スポーツ出版社 2010-05-29
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