「とりあえず、送りバント」は正解なのか?第1回
夏の甲子園、高校野球選手権大会の通算本塁打記録が準々決勝の時点で更新されました。
南北海道大会を振り返っても「今年はやけにホームランが多いなあ」と感じることが多かったですし、今大会でもホームランを含め大量得点が入るケースが多く、3・4点のアドバンテージで精神的な余裕が生まれないような、そんな試合展開が何試合もありました。
一方で、試合の中で「送りバント」という作戦を選択することがたくさんあります。
両チームの投手の調子がよく、なかなか点数を上げられない試合というのも一方であるわけです。
そういった試合展開を両チームの監督が予想されると、送りバントという作戦を序盤、接戦の中盤、決めの終盤と、とにかく「1点以上」の得点を得るときに用いられることが多いと思いますが、果たして戦略的に送りバントを講じることは1得点をあげやすいのか?を考えてみたいと思います。
ちなみに、2011年に東京学芸大学の准教授であった及川氏や現在ファイターズの監督である栗山氏がプロ野球の公式戦で行われたプレーを元に膨大なデーターをとり考察されております。
プロ野球のデーターを元にした考察に関してはこちらをご覧になって下さい。
■送りバントとは?
0アウト、1アウトで、1塁もしくは2塁の塁上にランナーがいるケースで、打者はバットをスイングせず、意図的にボールを当てて打球を緩く転がし、塁上にいるランナーを先の塁に進塁させる作戦のこと。
走者を進塁させることが目的なので、記録上は「犠打」が記入される。
ノーアウト1塁から、送りバントによってワンアウト2塁のケースから、少なくとも1点をとれるパターンは、次打者の安打が2塁打以上であれば1点は間違えなく入りますが、次打者の結果が
・単安打
・失策
・野手選択
であれば、条件が付くことになります。
単安打での得点であれば、打者がボールを打った時点での走者のスタートや守備側の守備位置、守備者の能力によって得点出来たり、出来なかったりが発生します。
失策であれば、野手が失策をしたあと打球がどこに転がるかや、失策後の野手の判断力が問題になりますし、野手選択での出塁も同様のことが言えると思います。
ランナーが2塁に進むことを「得点圏にランナーが進んだ」と表現しますが、ワンアウトランナー2塁のケースからどうするか?というところが得点に「なるか、ならないか」で以降の展開が監督の手腕の見せ所といえると思います。
※ちなみに、ノーアウトランナー1塁の後に「犠打」と「安打」が必ず成功するという計算の元だと、
ノーアウトランナー1塁→ワンアウトランナー2塁→ワンアウト一・三塁
ノーアウトランナー1塁の後に「安打」と「犠打」が必ず成功するという計算の元だと、
ノーアウトランナー1塁→ノーアウトランナー1塁・2塁→ワンアウト2塁・3塁
と、作戦の順番を変えるとランナーの置き方も変わるというところももう一方でありますね。
また、絶対に送りバントをするということが守備側にわかっている場合、守備力に自信のあるチームは送りバントを完成させないような守備隊形をとる傾向が近年見受けられることが多くなりました。
確実に決めてほしいノーアウトランナー1塁なのに「送りバント」でランナーを進塁させられないどころかダブルプレーでツーアウトランナー無しという結果をしばしば目にします。
「送りバント」はできて当然と思われがちな作戦なので、失敗すると失敗した打者を責めるコメントも聞こえてきますが、投げる投手は打たれようと思って「バントのしやすいボール」を投じるわけではありませんし、また守る側も「転がるボールを捕球する」つもりで守りますから「投手が失敗させようと思って投じているボールを野手がとりにくいところに転がす」というのは結構難しいことではないでしょうか?
こうなってしまうと「送りバント」という作戦は「無難」ではなく、「リスクの高い」作戦と思ってしまします。(つづく)
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