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ワンアウト1・3塁でのプレー。守備と攻撃。そして内野ゴロの走塁について。
髙松商業高校VS 智辯学園高校、明暗を分けた1、3塁のケース

ワンアウト1・3塁で内野ゴロの走塁について
第88回センバツ高校野球決勝戦。
髙松商業高校(香川県)VS 智辯学園高校(奈良県)より。

明暗を分けた1、3塁のケース。
両者の実力が拮抗した試合展開で延長11回に及ぶ両チームエースの力投と守備陣の凌ぎあい、観ていてしびれる試合でした。

さて、ゲームは最初から動き出します。
先攻髙松商業高校の攻撃1回表、ライト線2塁打と犠打野選で迎えたノーアウト1、3塁のケース。
守備側の智辯学園としてはいきなりのピンチ。

いろんな展開が予想される場面ではありますが、このケースでの内野ゴロの時の内野手の選択肢は序盤ということもあり、大きくわけて2つとなると思います。

①1点を失っても、ダブルプレーでアウトを2つ取ることを優先する。
1点を失うというデメリットを引き換えにして、ツーアウトで走者なしとそのあとを守りやすくし最少失点で乗り切りやすいメリットをとる。

②失点しない事を優先して3本間で3塁ランナーをアウトに取りに行き、最低でもアウトを1つとる。
引き続きピンチは続きますが失点しない事を第一とし、できればアウトをひとつとり、かつ1、2塁のケースを作りフォースプレーの可能性を残して次の打者を迎える。
3塁ランナーをアウトにとれなくても帰塁させ最悪でも失点せず満塁のケースをつくる。

一方、

攻撃側の行動選択肢は、

守備側がどちらの選択肢を選んだとしてもゴロの打球であれば1塁ランナーは2塁へ素早く進塁し、3塁ランナーは本塁へと進塁することが求められますが、3塁ランナーはそのあとの野手のプレーでどうするかの瞬間的な判断が求められます。

①守備側がダブルプレーを取りにいっていれば本塁へ進塁し1点をとる。
とくに説明は不要だと思います。自分の方にボールがこないのでそのまま本塁へ進み得点とします。

②3塁ランナーの進塁を阻みむため、本塁へ送球されるか野手がボールをもって追っかけて来た場合は、3本間に挟まれランダウンプレーに持ち込み相手の送球ミスにも期待しつつ「時間を稼ぐ」。
得点できればよし、自身が帰塁出来もよし、挟まれている間に1塁ランナーがすみやかに3塁へ、バッターランナーが2塁へ進塁できていれば、1アウトを取られても1アウト2塁3塁のケースもしくはワンアウト1塁・3塁のケースをつくります。
自身がアウトになっても再度ワンヒットで得点のチャンスを作るように「挟まれる」ことが求められると思います。

したがってノーアウト1・3塁のケースのゴロ打球で3塁ランナーがスタートを切れず、「ダブルプレーでアウト2つを取られ」かつ「得点を挙げられなかった」のは立ち上がりの髙松商業サイドとしては、まず先取点が欲しかったため慎重になりすぎたのかもしれないとみています。

サードゴロを捕球したときに智辯学園の三塁手が「眼」で3塁ランナーをけん制したため3塁に帰塁した、という解説があり帰塁は仕方ないというコメントもありました。
貴重な3塁ランナーですから、自分の近くに強い打球が飛んできたときは「飛び出すな」という格言みたいなものがありますから、野球選手としての反応が帰塁を選択してしまったところだと思います。
打球が三塁手の正面だったというところも3塁ランナーには不運だったとおもいます。

ところが直後の2回裏の智辯学園の攻撃で1回の髙松商業同様1・3塁と似たようなケースがありました。

1点が入らなかった髙松商業のケースと大きく違うのは智辯学園のケースはワンアウトであったこと。
打球がセカンドゴロであったこともあり、3塁ランナーが迷うことなく本塁へ進塁しやすかったこともありゲッツー崩れの間の1点となりました。

智辯学園の打者の打ち方や打球、3塁ランナーのスタートなどをみてみると、あらかじめこのケースで確実に1点をとれる練習を普段からしているような仕草が見られました。

1、2回の1・3塁の攻防でどちらのチーム守備も①の方を選択したのですが、このケースでの攻撃側の状況判断の違いがありました。
両チームの投手とも決勝戦の舞台にふさわしいすばらしい投球を見せていただけに、序盤の「走塁の違い」がこの試合の明暗をわける要素の1つになったかもしれません。
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