先日札幌で行われた審判講習会にて、「走塁妨害」「守備妨害」の判断について今年は特に話題になったと出席された方がおっしゃっていた。
年回に数回行われるが、野球シーズンが始まる前の確認事項ということで大体この時期にまず行われる。
主に前年からのルールの変更や、前年にあった失敗したケースの反省などが話題になります。
10年後にどうなっているか分からないが、少なくとも現在の野球のアンパイアはすべて人が行っています。
人が行う以上ミスは起こるわけだが、大事なのは同じミスを起こさないように改善していかなければならない。
選手たちの真剣勝負に水を差さないようジャッジする側もお勉強する、その機会のひとつが審判講習会であるのです。
さて、野球に限らず「ルールに精通している人でないとわからない事」はもちろん「ルールに精通している人でも判断に迷う」ことがあります。
今回のお題目でもある「守備妨害」と「走塁妨害」もその一つ。
野手と走者が野球のプレー中に接触するケースは多々あるのですが、その中での1つ「打球が走者に当たった場合どうなるか(守備妨害)」について軽く触れていきたいと思います。
「カキーン」と甲高い打球音を残して痛烈な打球が三遊間に飛んでいき、「よし!点数が入るぞ」と攻撃している側が思ったその刹那、2塁ランナーに直撃し「インターフェア ランナーアウト」コールをされた時にはベンチのみなさんはさぞかしがっくりくることでしょう。
野球の試合をたくさん見ている方はそういう場面を何度か見たことがあると思います。
ところが、
ランナーに当たっても必ずしもアウトにはならないということをご存知でしょうか?
2015年野球規則より
7.09 走者のインターフェアに関する項目(k)で野手(投手を含む)に触れていないフェアボールが、フェア地域で走者に触れた場合、走者側のインターフェアとなりアウトを宣告される。
走者のインターフェアが発生し他にランナーがいた場合は、インターフェアが発生した時点でボールデットとなり、インターフェア発生前の投手の投球時に占有していた塁に戻され、打者は安打として一塁に出塁となる。(10.05安打の項目より)
大方のケースがこのプレーなので、走者に打球が当たったらアウトになると思ってしまうのですが、
7、10(2)にて、
1人の内野手(投手を除く)の股間または側方を通過したフェアボールに走者がその後方で触れた場合はすぐにアウトを宣告してはならない。
(走者が打球に当たらなかったとして)その打球がその他の内野手の守備する機会に該当しない場合は走者はアウトにならない。
つまり、ランナーの近くにいる内野手の守備機会が完了した(内野手がボールを取りに行って取れなかった)あとであればランナーに打球が当たっても、必ずしもアウトにはならない。
⇒当たったことで守備側に不利が生じ、取れるアウトが取れなかった(妨害された)と審判が判断して初めてアウトになるということになります。
*守備機会が完了した打球であっても、走者が故意に当たったと判断された場合はその該当走者はアウトを宣告されます。
1塁ランナーが、1・2塁間に飛んだ打球に当たったとします。
1塁ランナーよりも前で守備していた一塁手の横を通った後に1塁ランナーが打球に当たりました。
一塁手の守備機会が終わり守備機会が終わった後に当たった打球なので妨害してないように思いますが、近くの二塁手にもその打球を捕球する守備機会があると判断されれば、故意でなくとも守備妨害で即座にボールデット、該当ランナーはアウトとなります。
守備妨害の判断は走者に打球が当たったからアウトなのではなく、当たらなかったとしたらどういうケースになっていたか。
(取れたかどうかではなく当たらなければ、内野手に守備機会があったかどうか)
また、走者が故意にボールに当たったかどうか。
ランナーに打球が当たってアウトになるケースを毎年1度はどこかで見るのですが、走者が打球にダイレクトに当たってアウトにならなかったケースを筆者も人生で2回ほどしかみたことありませんので、あたってアウトになること以上にレアケースだとは思います。