先日、お客様から下記のご質問を頂きました。
打者が故意に空振りをしたときに起こりうる「反則打球」と「守備妨害」についてです。
【質問内容】
ヒットエンドランでバットを投げた場合はどうですか? ボールにバットが当たった場合、当たらなかった場合について教えてください。
(補足)
エンドランとしたのは、走者の盗塁を助けるため捕手の守備を妨害したと判断されるとか、スクイズとのちがいがあるのかないのか、そのへんが知りたかったからです。よろしくお願いします。
まず、どうしたら反則打球となるか?ですが。
反則打球と判断された後どうするか?
守備妨害が適用された場合、打者への扱いや走者への扱い。
あんまり起きることではないので、意外と知られておりません。
だいたいは以下の通りではないでしょうか。
6,06 次の場合、打者は反則行為でアウトになる
a:打者が片足または両足を完全にバッターボックスの外に置いて打った場合
b:投手が投球態勢に入った時、打者が一方のバッターボックスから他方のバッターボックスに移った場合
c:打者がバッターボックスの外に出るか、あるいはなんらかの動作によって、本塁での捕手のプレイおよび捕手の守備または送球を妨害した場合。
しかし例外として、進塁しようとしていた走者がアウトになった場合、および得点しようとした走者が打者の妨害によってアウトの宣告を受けた場合は、打者はアウトにならない
以下のプレーは守備側のプレーを妨げる行為となります。
6,05原注より
バット全体がフェア地域またはファウル地域に飛んで、プレイを企てている野手(打球を処理しようとしている野手だけではなく、送球を受けようとしている野手も含む)を妨害した時には、故意であったか否かの区別なく、妨害が宣告される。
また、打者が打つかバントした後、1塁に走るにあたって、まだファウルと決まらないままファウル地域を動いている打球の進路を、どんな方法であろうとも故意に狂わせた場合。
不正打球と妨害とは大まかにわけると2つがあげられると思います。
さて、今回ご質問いただいたヒットエンドラン時に打者がボールに対してバットを放った場合です。
結論から申し上げますと「そのプレーを実際に見てないので何とも言えない」ということを前提で話を進めていきます。
今回の質問の返答にあたり、高校野球、大学野球、社会人野球の公式戦にも立ち、年間100試合以上審判をされている方にお伺いしてまいりました。
まず、ヒットエンドランなので投球と同時に走者が進塁を開始しております。
投球に対して打者がスイングを開始するわけですが、その際、
①打者の振ったバットが打者のてからすっぽ抜けて、いずれかの方向に飛んでいきました。そして、ボールはバットにはあたっていないケースだとします。
①-1捕手が投球を捕球しセカンドへ送球、盗塁したランナーをアウトにした場合ランナーはアウトになります。(打者にはストライクカウントが一つ追加されます)
①-2捕手が投球を捕球しセカンドへ送球、盗塁したランナーをアウトにできなかった。その原因が打者の捕手に対する守備の妨げであった場合
(反則打球のC項、6,05原注にあたる場合)
打者は捕手への守備妨害でアウト、ランナーは投球前の占有塁へ戻されます。
①-3 2ストライク時に捕手が投球を捕球しセカンドへ送球、盗塁したランナーをアウトにした場合、打者は三振でアウト、ランナーもタッグでアウト、ダブルプレーになります。
①-4 2ストライク時に捕手が投球を捕球しセカンドへ送球、盗塁したランナーをアウトにできなかった。その原因が打者の捕手に対する守備の妨げであった場合
(反則打球のC項、6,05原注にあたる場合)
打者は3振でアウト、捕手への守備妨害でランナーをアウトにできなかったのであればランナーは投球前の占有塁へ戻されます。(3塁ランナーの時はルールがちょっと変わります)
②打者の振ったバットが打者のてからすっぽ抜けて、いずれかの方向に飛んでいきました。そして、バットにボールがあたったケースだとします。
②-1 通常の打球として扱いますが、6,06の反則打球であった場合即座にボールデットとなり打者はアウト、ランナーは投球前の塁へ戻されます。
②-2 通常の打球として扱いますので、フェアゾーンのボールであればフェア、ファールゾーンのボールであればファールとなります。ただし、インプレーのケースで「6,05原注」のような事態が発生した場合は打者はアウト、ランナーは投球前の塁へ戻されます。
③ 打者のバットの扱いがスイングでもなくバントでもない、それ野球じゃないよね?なんて「危険な行為」であるとみなされた場合には上記の限りではありません。
総括
通常のプレーで打者がキャッチャーの盗塁への送球を邪魔することはよくあります。
しかし、度が過ぎるプレーをまれに見かけることがあります。
勝利に固執するあまりルールすれすれのラフプレーや、審判の視野の死角を突いたりといったものです。
今回のご質問はまさにルールの境目を確認させてくれました。
審判のジャッジに賛否がある昨今ですが、指導される方やプレーされる方もフェアプレーを心掛けて頂けると審判もジャッジしやすいかと思います。