選手が「塁の占有権」を知らないことで発生した「得点」と「誤審」。いわゆるおや子どんぶりについて
2016年8月13日
明徳義塾高校 対 境高校
8回裏の出来事
YAHOOニュースのトップに掲載されるほどでしたから反響が大きかったのでしょう。
7.00 走塁
7.03 同一塁上に2人の走者
(a)2人の走者が同時に一つの塁を占有することは許されない。ボールインプレイの際、2人の走者が同一の塁に触れているときは、その塁を占有する権利は前位の走者に与えられているから、後位の走者はその塁に触れていても触球されればアウトになる。
ただし(b)項適用の場合を除く。
(b)打者が走者となったために進塁の義務が生じ、2人の走者が後位の走者が進むべき塁に触れている場合には、その塁を占有する権利は後位の走者に与えられているので、前位の走者は触球されるか、野手がボールを保持してその走者が進むべき塁に触れればアウトになる。(7.08e参照)
7.08 走者アウト
7.08e:打者が走者となったために、進塁の義務が生じた走者が次の塁に触れる前に野手がその走者またはその塁に触球した場合。(このアウトはフォースアウトである。
ただし、後位の走者がフォースプレイで先にアウトになれば、フォースの状態ではなくなり、前位の走者には進塁の義務がなくなるから、身体に触球されなければアウトにならない。
問題のケースは、ワンアウト満塁からピッチャーのワイルドピッチでそれぞれのランナーが進塁、得点しなおワンアウト2・3塁から、3塁ランナーと2塁ランナーが3塁ベース上にいた状態なので、塁の占有権は7.03(a)のケースとなります。
境高校の三塁手は三塁上にいる2人のランナーにそれぞれタッグをしました。
占有権は3塁ランナーにあるので2塁ランナーがアウトで3塁ランナーがセーフなのですが、明徳義塾の選手は勘違いをし、本来セーフであるはずの3塁ランナーが離塁しアウトであるはずの2塁ランナーが塁上に残りました。
このとき、三塁審判は塁上に残った2塁ランナーに「アウトだよ」とコールするためにボールから目をそらしてしまいました。
直後、アウトだと勘違いして離塁した3塁ランナーに三塁手はタッグし、アウトだとアピールしましたが完全に目を切ってしまっているためアウトジャッジできず、また本塁でのタッグプレーがあるため球審も本塁付近にいたため三塁手のタッチを確認できない状態でありました。
プレーを見ていると、アウトになったはずと思った3塁ランナーは自分に対して野手が追いかけてくるので、とりあえず本塁へ進塁させられた感じでの進塁でもありました。
明徳義塾の2・3塁ランナーがともに占有権のルールを勘違いしてたのか、そうではなかったのかは本人のみぞ知るところです。
アウトである走者が塁上に残り、アウトになっていないランナーがアウトだと思って離塁するケースが各都道府県を代表して出場してくる野球選手でも起こり、審判も人間でありミスジャッジがあるとなると、高校野球でもリプレイを確認する「ビデオ判定」を導入する時代がそう遠くないかもしれません。
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