9月17日イレブン杯2回戦、石狩・花川中学校対北陽中学校の試合中に起きたプレーです。
2回表、ワンアウト満塁、空振りでスリーストライク三振。
しかし、キャッチャーがボールを捕球できず落としました。
通常であれば、降り逃げが適用されるのですが、この場面では振り逃げになりませんでした。
なぜでしょうか?
野球規則6.09 次の場合、打者は走者となる。
(a)フェアボールを打った場合。
(b)(1)走者が一塁にいないとき(2)走者が一塁にいても2アウトの時に捕手が第3ストライクと宣告された投球を正規の捕球ができなかった場合。
※正規の捕球とは投手の投球がインフライト(ノーバウンド)でキャッチャーミットに収められた状態を指します。
キャッチャーが捕球できなかった時はもちろん捕球できていてもワンバウンド以上しているボールを指します。
原注)第3ストライクと宣告されただけで、まだアウトになっていない打者が気がつかずに一塁に向かおうとしなかった場合、その打者は“ホームプレートを囲む土の部分”(ダートサークルのこと)を出たら直ちにアウトが宣告される。
と、あります。
では、なぜ0アウト1アウトのケースで一塁にランナーがいる場合に振り逃げが成立しないかといいますと「振り逃げ」のルールによって攻撃側に不利が生じるケースがあるからです。
0アウト、1アウトでフォースプレーが成立するケース(1塁、1・2塁、満塁)で振り逃げのルールがあると、3ストライクと宣告されたボールを捕手が故意に落球するケースが出てきます。
もしそうした場合、打者が走者となって一塁に走塁義務が生じたますから、結果それぞれの塁にいるランナーも一つ前の塁に進まなくてはならなくなります。
そうなると、捕手がわざと自分の足元に投球を落として2つ以上のアウトを守備側が得る機会が生まれることになります。
そのため、0アウト、1アウトで1塁上にランナーがいる場合には「振り逃げ」がないわけです。
ちなみに、2アウトの場合1塁ランナーがいても成立するのは故意に落球しても得られるアウトは1つですから、ルール上の不利は生じません。
だから2アウトの時は1塁にランナーがいても問題ないのです。
覚えていて損はないワンポイントアドバイス
2アウト満塁時に振り逃げが生じた場合に、ボールを拾いなおした捕手が一塁へ送球するケースを見かけますが、2アウト満塁時の振り逃げはフォースプレーです。
素早くひろってホームベースを踏んでも、3塁ランナーのアウトとなります。
ボールを投げるということは暴投の危険性もありますので、弾いたボールがホームベース付近にある場合は素早く拾ってホームベースを踏むとより安全にアウトを取ることができますよ。
(ホームから遠いところや、一塁側に転がった場合はその限りではありません)
同試合で、1アウト満塁で、打者の3ストライク宣告時に、3塁ランナーが振り逃げと思い本塁へ進塁したケースがありました。
1アウト満塁でのスリーストライクですから、正規の捕球ではなくてもバッターアウト、3塁ランナーは本塁へのスチール失敗という判断でダブルプレーとさせていただきました。