オブストラクション(走塁妨害)について。
野球規則2,51OBSTRUCTION:オブストラクション(走塁妨害)
野手がボールを持たない時かあるいはボールを処理する行為をしていない時に走者の走塁を妨げる行為である。(7,06a項 b項)
上記のように記されている走塁妨害ですが、このルールを知らないと損をすることがあります。
8年ほど前、とある大会の決勝戦でした。
お互いのチームの投手が力投を繰り広げ再三のピンチをしのぎ合う1点を争う好ゲーム。
どちらが勝利してもおかしくないような展開のこの試合の決勝点がなんと、サヨナラオブストラクションとあっけない幕切れだったのです。
ワンアウト1塁のケースで攻撃側のヒットエンドラン。
投球と同時に一塁ランナーがスタート。
スタートと同時に二塁手がセカンドベースカバーへ入り、打球はがら空きの1・2塁間を抜け右中間へ。
右中間を転がる打球を確認した1塁ランナーは2塁、そして3塁を蹴ってそのまま本塁へ突入。
ところが、右中間を抜けるかと思われた打球が意外に弱く右翼手がすばやく処理しホームへダイレクトに送球。
暴走気味に本塁へ突入したランナーだったので、余裕をもってホーム手前で捕手からタッグされアウト。
なんとかサヨナラ負けを防いだか?とほっとしたのもつかの間。
直後タイムがかかり4審が3塁ベース付近にあつまりなにやら協議中・・・。
1分をややすぎたあたりでしょうか
「オブストラクション」のコールとともにホームに突入したランナーのホームインが認められゲームセットというもの。
問題となったオブストラクションの発生位置ですが、右中間へ飛んでいった打球を処理した右翼手からの送球を待つためにサードベース付近に待機していた三塁手(ボールを持っていない野手)がセカンドベースを回ってホームへ突入しようと進塁していたランナーと接触。
接触した時点で3塁審判は接触したことをしらせるシグナルを発信していたとのこと
オブストラクションが発生したと判断された場合。
野球規則7、06(a)より:走塁を妨げられた走者に対してプレイが行われている場合、または打者走者が一塁に触れる前にその走塁(打者走者の走塁)を妨げられた場合にはボールデットとし、塁上の各走者はオブストラクションがなければ達したであろうと審判員が推定する塁までアウトのおそれなく進塁することが許される。
走塁を妨げられた走者は、オブストラクション発生当時すでに占有していた塁よりも少なくとも1個先の進塁が許される。
7、06(b)より:走塁を妨げられた走者に対してプレイが行われていなかった場合には、すべてのプレイが終了するまで試合は続行される。
審判員はプレイが終了したのを見届けた後に初めて「タイム」を宣告し、必要とあればその判断で走塁妨害によってうけた走者の不利益を取り除くように適宜な処置をとる。
と記載されています。
サードベースを回ったランナーに対してのプレーが続行されているので、本塁にボールが到達した時点で本来であれば7、06(a)項の適用かと思ったのですが、この時は違う判断だったようです。
ボールを持っていない野手と接触したから必ず妨害行為となるわけではないのですが、「ボールを持っていない野手とランナーが、走路上で接触すると走塁妨害になる可能性がある」ことは知っていてほしいルールです。
故意にルールを悪用しているのでは?と感じることがあります。
本来であれば怪我などが起きないようにという配慮でできたルールなのですが、そういうことを逆手にとるチームがあるかもしれません。
ボールを持っていない内野手が走路にいないように普段の練習からちょっと考えておけば走者との接触は少なくなると思いますし、しなくていい怪我も減ると思います。
怪我なく無事に1試合終わってほしいと思うのは審判の立場でも同じことなのです。