初版が2001年10月31日ですから、約15年前の本です。
当時、野球のJAPANチーム付管理栄養士を務められ、現在立命館大学にてスポーツ栄養学の教授としてご活躍中の先生が「高校野球の選手の食事」に特化して執筆された書籍です。
前回紹介した「スポーツ栄養学」の著者である鈴木志保子先生とともにスポーツ栄養学という分野を世に広め、こと、野球界での「食事」の大事さを今日までにしたのは海老先生の功績が大きいと思います。
野球の技術やトレーニングの本でもなく、野球選手のエッセイやコラムでもなく野球の選手のお食事にスポットを当てた「野球食のジャンル」は当時も異例のジャンル。
その部門の書籍が野球系の本としてベストセラーに入ることを何人の方が予想できたか。
今回この本の存在を思い出したのは昨日(1月14日の道新スポーツさん)帰ってきた特命記者さんの記事「スポーツのための食事を学ぶ」の中でアスリートフードマイスターというキーワードを目にしたからです。
田中将大投手の奥さまである里田まいさんが所得した資格で一躍有名になった「アスリートフードマイスター」里田まいさんのブログで直接ご覧いただけますが、おかずの数や種類などてまひまをかけてご飯をおつくりになられていることや、盛り付けなどもきれいでおいしそうです。
さて、フードマイスターを目指すにしても目指さないにしても、選手本人は食べ物のことを考えることは大事なことだと思います。
「毎日練習していっぱい動いている野球選手」と「帰宅部の学生」の食事量は同じじゃない。
翌日に疲れを残さないように食べるのと、筋肉を増やし身体を大きくするために食べる、両方とも食べられるくらいの食欲があればベストだけど、あんまし量を食べられなければどうしたらよいだろうか?
練習前に食べるものと練習後に食べるものを考えて摂るとどのくらい自身の体調が改善されるか?
たくさんご飯を食べるってのは案外体力のいる作業でいきなり、「明日から毎朝丼で米を3杯以上食べろ!」なんてことを言われても毎朝1杯も食べられない選手にとっては練習よりハードかもしれない。
そんな食べる側のお悩みを毎日ご飯を作ってくれるお母さんや、寮のおばちゃんが考えてくれている環境なら選手本人が食事面で気にすることはなんにもないのだが、
お母さんや寮母さんが栄養面でのプロフェッショナルであるなんてお家は少数ですよね。
「野球食」は自分で考えて食べるものを決めていきたい選手、もしくは毎日練習に励むわが子をサポートしたいお母さんのための入門編な本です。
「どういう食べ物をどのくらい摂取したら」よいのか、食べられない子がいきなり食べられるようにはなりません。どういう工夫をして食べられるようになるかということはもちろん、「こまめにとる水分補給の重要性」や、たくさん栄養をとればいいというものではない「プロテインはとりすぎると弊害もあるよ」ということも実例をあげてわかりやすく解説。
さらに、現代は手軽に利用できるコンビニがありがたい時代炭水化物や脂肪なものがずらりと並ぶコンビニ弁当ですが、このコンビニをうまく利用し野球食に活かしていく方法おにぎりの具の選び方によってプラスにもマイナスにもなるなど「コンビニの上手な利用の仕方」なども掲載。
また、15年も前から、野球少女人口が増加することも予想されていたのでしょうか、高校球児だけでなく、女子野球選手専用の食事についての項目もしっかりとあります。
おススメです。
(イレブンでも取り扱いできますが、結構売れていた本ですのでブックオフさんやゲオさんなどご近所の古本やさんでお求めの方がいいかも)