Dome Journal(ドームジャーナル) vol.44
高校野球界に「黒船」襲来か? NCAAバスケットボール大会(通称:March Madness)と全国高校野球選手権大会の比較
日本の夜明けは近いぜよ!
Dome Journal(ドームジャーナル) vol.44
非売品円(税別)
アンダーアーマーブランドの日本代理店を務める(株)ドームさんから定期的に送られてくる冊子、「Dome Journal(ドームジャーナル)」のvol.44の中に、
スポーツ産業化への道という連載ものがあり、その中に「スポーツビジネスはロイヤリティーを産業化する」という文章が掲載されてました。
先日、東海大学が総合優勝した東京箱根間往復大学駅伝競走、通称「箱根駅伝」のことにも触れてましたが、気になったのは
NCAA March Madness2016(全米男子バスケットボール選手権?)
と、
第98回全国高校野球選手権大会(平成28年夏の甲子園大会)
の、
比較データとその詳細です。
ドームさん調べによるといずれもホームページで公表されている数字を元に
作成されたもののようです。
観客動員数)
NCAA March Madness2016/748,000人
夏の甲子園/837,000人
決勝戦の視聴率)
NCAA March Madness2016/12.0%
夏の甲子園/20.0%
興行収入)*1ドル120円として換算
NCAA March Madness2016/約1,100億円
高野連の年間総収入/約9億円
①両イベントの1試合あたりの入場料の違い
夏の甲子園の観戦代(2018年のものすべて大人料金です)
中央指定席/2800円 自由席/2000円
1,3塁特別自由席/2000円 普通席/1500円
アルプス席/800円 /600円
外野自由席/500円
NCAA March Madness2016
調べてみましたが、よくわかりませんでした
②NCAAがチケット代のほか、放映権を含んで1100億円と試算しているのに対して
高校野球の収支は高野連のデータだけで、しかも甲子園大会ということではなく年間総収入(総収入は9億円)という提示が比較検証の資料としては正しくない。「NCAAのバスケットボール大会」と「甲子園大会」の、チケット代と放映権収入の比較データというなら比較対象となると思うが・・・
そもそも甲子園大会は春と夏に異なる主催者(春は毎日新聞・夏は朝日新聞)がある。
大会の収支を出すのであれば、高野連を引き合いに出すのではなく、むしろ主催者の収入を求めるべきではなかろうか?とツッコミどころ満載なデータで、
さらに①②を調べようとも不明な点が多く、記載されているデータが正しいかどうかが確認できないので、もはやドームさんの資料はどうでもよいので、
ドームさんが読者に伝えたかったこと、つまり
「ドームさんの主張」は、アメリカ人の多くが観戦する大スポーツイベントのひとつと言われる
「NCAA March Madness」よりも、多い観客動員数と視聴率を
日本の甲子園大会は生み出しているのに、
スポーツビジネスの観点で見ると、日本の甲子園大会は「NCAA March Madness」100分の1の売り上げにも満たない。
高校野球はスポーツ興行として魅力のあるものだから、より多くの利益を生み出すために高校野球が持つロイヤリティー(著作権など)を効率よく産業化し、その利益を通して高校野球界をより豊かにするべきである
という内容でした。
この指摘は確かだと思います。
野球人口の減少は少子化の影響もありますが、中学・高校ではサッカーに抜かれました。中学ではバスケットボールがサッカーに次ぎ競技人口2位です。さらに、卓球、バトミントン、テニス界では日本人が世界のトッププレーヤであり複数台頭しました。これらラケットスポーツ人気の上昇、
青山学院の活躍で箱根駅伝の注目も上がり、武井壮さんなど、陸上競技を身近な存在にした人がメディアに多く見かけるなど、他競技人気の影響もあり年々野球人口は減少しています。
野球の競技人口が減っていくなかで「今後の野球界の発展」を考えた時に避けられない問題のひとつに
「これからの高校野球のあり方」をどう変えていくかはあると思います。
・今までの「教育の一環」としての高校野球から、新しい時代の「教育の一環」としての高校野球、さらには「高校野球そのもの」の立場(高校の先生や指導者、選手など)も変遷は迫られるでしょうし、
・それを取り巻く環境、「商売の一環」として高校野球に携わる仕事をする外部の立場(マスコミや出版業界など高校野球の記事で利益を得ている業界や、グラブとかスパイクなど野球用具の販売を手掛けているイレブンも含まれます)の置かれる状況も変化せざるを得ないと思います。
今後の野球界の発展の先に「高校野球っていいね!」
と、改めて思わせてくれる人が出現し、変わっていくことになるとは思うんですが、一体どんな方が出現するんでしょうね?
最近なにかとお金の方で話題の「ZOZOタウンの社長」みたいな人は野球にはかかわってほしくないなと私個人は思います。
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