野球クイズ【問50】
※カープとジャイアンツのゲームでも実際にあったプレーのようですので、とりあえず見ないで考えて下さい。(2015年5月4日の試合より)
9回裏2-2の同点のケースで、ワンアウト満塁です。
カープは代打に小窪を送り、サヨナラの一打にかけます。
一方ジャイアンツは投手マティソンに託します。
ワンボールからマティソンの投げた真ん中高めのストレートを打ちあげた小窪。
ホームベース付近のピッチャーフライとなりました。
内野のホームベースとピッチャーマウンドの間の打球なので本来は球審が「インフィールドフライ、イフフェアー」の宣告を行わなければならないと思うのですが、捕手とともに打ち上げた打球を見上げる球審。
数秒後に捕手の後ろに回り込みタッチアップかなにかに備えた模様。
(インフィールドフライの宣告を完全に忘れています)
ですが、3塁審判がインフィールドフライをコールしました。
そして、ここからです。
捕っていればなんてことなかった内野フライなのですが、ピッチャーマティソンなんと落としてしまいました!
地面に落ちたのをみて球審は右手を出して「フェアボール」の動作。
これを見て3塁ランナー野間は3塁からホームベースへ走ってきました。
素早くボールを拾ったマティソンはホームベースを踏みました。
球審はボールをもった選手がホームベースを踏んだのでアウトのジャッジをします。
ちなみにこの時、球審はアウトのコールをしたが、3塁ランナー野間はホームを踏んでおります。
ここで問題です。
・球審は「インフィールドフライ」を宣告せず、フライの落球後フェアのジャッジをし、ボールを持った投手がホームベースを踏んだ際に、三塁ランナーに対してフォースアウトを宣告
単純に『このプレーはインフィールドフライは適用していない』判断を下してます。
・一方、3塁審は「インフィールドフライ」を宣告し、インフィールドフライはあったものとして、右手を上げて内野に入りアピールしています。
さて、このインフィールドフライをめぐるダブルジャッジのケースで、カープの3塁ランナー野間のホームインは認められたでしょうか?
野球クイズ【問50】答え
球審のミスジャッジと、内野フライの落球のためにややこしいプレーとなっております。
「インフィールドフライだ!というジャッジ」と
「インフィールドフライではない!というジャッジ」の2つが同時に起きた場合、
「インフィールドフライ」が優先されます。
従ってこのケースでは3塁ランナーの野間選手のホームインが認められたことによるカープのサヨナラ勝ちとなります。
従って、代打小窪選手のフライをマディソン投手が「捕ろうと捕るまいとアウト」ということ。
そしてインフィールドフライによってフォースプレーが消滅しているので、「ランナーは進塁してもしなくてもいいこと」となります。
※ただし、フライを野手がダイレクトで捕球した場合は、ランナーに帰塁の義務「進塁する場合は捕球時に触塁し、再度進塁しなければならない」が発生する
通常、内野の捕球判断に関する責任は「球審」の、野手と走者のタッチ確認は「プレーを見ている近くの塁審の、ジャッジを優先しますが、インフィールドフライの宣告に関しては「インフィールドフライ」が宣告された時点で「インフィールドフライイフフェアー」となります。
(インフィールドフライが宣告されてもファールになったらファールボールです)
野球ドリルの総括
野球のルールには、わかっていないと対応できないプレーが結構あります。
以前書いたルールブックの盲点と言われる「ドカベンアウト」や今回の「インフィールドフライ」「振り逃げ」などはその典型だと思います。
覆ることは稀ですが、ルールを理解していればルールに沿って審判に抗議が出来ます。
アマチュアでは特に、ルールに沿って審判に抗議すれば以降、このチームの監督はルールを知っていると、以降のジャッジをしっかりしなければという審判へのプレッシャーとなります。
わかっていないといないとできないプレーの代表格と言えば、ドカベンアウトは「アピールプレー」と「タイムプレー」が同時に発生するケースなのです。
アピールプレーだけであれば、3塁ランナーのリタッチ(離塁)が早いとか、ランナーがベースを踏まないで空過したのを見ていたら、当然アピールしますよね。
タイムプレーだけであれば、2アウト1塁・3塁のケースでファーストランナーが盗塁してきたら、3塁ランナーがホームに行く前に1塁ランナーをアウトにしないと点数が入ることは周知のことと思います。
一つ一つのルールを分けて考えればわかることが、同時に発生すると滅多に起こることではないので、ちゃんとルールを理解していないと対応ができないんです。
フォースプレーのケースで振り逃げがないのは、「インフィールドフライ」同様で、3ストライク目のボールをキャッチャーがわざと落球するとダブルプレーを取ることが可能なので、0・1アウトのフォースプレーがある状況では打者側が不利になる「振り逃げ」は発生しないのです。
中々ないけど、たまにあるプレーは数多く存在します。
ルールが頭に入っていると、最終問題も球審がインフィールドフライではないと判断しフォースアウトをコールしていても、塁審1人でもインフィールドフライを宣告していたなら、「インフィールドフライ」が優先されるはずだと、抗議ができます。
ルールを知って、高校野球やプロ野球を見ると一層野球が楽しくなると思います。
ぜひともこの機会にいろいろなルールに触れてみてはいかがでしょうか?
ルールの問題が8割以上で、意外とお堅い内容でつまらないかもと思っていたのですが、一部の方からは面白いとか、ためになるというご意見もいただけたのでとりあえずの50問でしたが、やって良かったなぁとも思えました。
最後に、審判も人間であり、プレーに支障を起こさないように素早くジャッジを下さなければならないケースが多々あり、ミスを犯すことはしばしばあります。
お近くに野球の審判をされる方がいらっしゃれば一度お尋ねしてみて下さい。
「1試合を通してミスなく完ぺきにできた試合が何試合ありますか?」と。
おそらく1試合もないとおっしゃると思います。
ストライク・ボール、アウト・セーフのジャッジはもちろん、説得力のあるジャッジにするためにプレーを見やすい位置への移動や審判同士のシグナルの出し合い、ローテーションやスライドなど基本姿勢、そしてなにより
「選手が安心してプレーし、試合を円滑に進めることが出来たかどうか。」
プレーする選手たちが、そう感じてもらえるように審判員はダイヤモンドに立っているということをご理解いただければ幸いです。